報酬開示 戸惑う企業 日産、ソニーなど「未定」相次ぐ
6月14日8時16分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
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日産自動車のカルロス・ゴーン社長(写真:フジサンケイビジネスアイ) |
[表でチェック]高額報酬も批判の的…注目の株主総会
◆株主からは批判の声
報酬総額1億円以上が確実視されるのは日産自動車のカルロス・ゴーン社長やソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長だ。
日産は2009年3月期に巨額の最終赤字に陥り、期末配当を見送ったにもかかわらず、1人当たりの役員報酬が2億円超と高額で、昨年の総会では株主から批判の声が上がった。日産は今年の総会で役員報酬に関する質問を受けた場合、「対応は未定」としている。
執行役1人当たりの平均報酬額が1億4825万円のソニーは、ストリンガー会長兼社長が突出して高いとみられる。報酬額を公表するかは未定だが、02年から08年までの7年間にわたって、株主が取締役報酬の個別開示を要求してきた経緯もある。
みずほフィナンシャルグループ(FG)に対しては、取締役の報酬・賞与額が1億円を上回るかどうかにかかわらず、個別に開示すべきだとの株主提案が寄せられている。みずほFG側は「法令にのっとり開示しており、株主の利益に反していない」と反対、総会で報酬を公表するかは未定だ。
一方、アステラス製薬は、「報告書を見てくださいでは株主は納得しないだろう」と判断し、1億円を上回るケースについては、総会で質問があれば、回答する方針。資生堂は株主招集通知で公表したが、こうした企業は異例だ。
◆プライバシー不十分
役員報酬の開示ルールはこれまで、総額のみが開示対象だったため、役員1人当たりの平均報酬額から推定するしかなかった。これが内閣府令で、10年3月期決算企業から報酬額1億円以上の名前と金額を明らかにすることとなった。
コンサルティング大手のプライスウォーターハウスクーパースが85社を対象に昨年実施した調査によると、役員報酬の算定根拠について54%が策定しておらず、「業績に見合った報酬を支払っているのかチェックしたい」(大手証券)と関心も高い。
もっとも、経済界や企業側には、「プライバシーへの配慮が不十分」(金融大手)などと、高額報酬者の開示には難色を示していた。政府が高額報酬の開示内容を拡充したのは、経営の透明性を高めるのが狙い。
ただ、「巨額報酬を総会で明らかにすれば混乱する」との見方もあり、総会の懸念材料になりそうだ。
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